サクセサーズ
ルーカスは歩いて、中央広場の近くにある行きつけの酒場に入った。酒場に入ると、酒の匂いがたちこめいた。常連客ばかりだが、外れの方に一人で飲んでいる見慣れない青年がいた。



青年はこの国の民と比べると色素が薄く、珍しい黒髪の持ち主だった。椅子に座っているが、脚が長く高身長なのが伺える。



『一人は黒髪で肌の白い男。もう一人は金髪の緋色の目の女』




ルキに伝えられた情報を彼は思い出して、こいつだなと目星をつけた。冷たい瞳や雰囲気から感じ取れるように見るからに強そうである。自分では到底歯が立たないのではと思うほどに。



話しかけてみるのが一番であろう。何か得られることがあるかもしれない。ルーカスはそう思って、葡萄酒をコップいっぱいに注いで黒髪の男に接近した。
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