サクセサーズ
「あ、あ、人が倒れてる」


血まみれで何ヶ所にも刺し傷があった。
年はリリィと同じくらいで、この辺では珍しい黒髪をしていた。


死んでいるのか、気を失っているのか。
リリィは急いで脈を確認した。



「まだ、大丈夫…でも、ど、どうしよう」


自分の力で青年を運ぶのは時間がかかる。かと言って村に一旦帰った場合、手遅れになる可能性もある。


「そ、そうだ…魔法を使えば」


リリィは瞳を閉じるとそっと詠唱し始めた。
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