サクセサーズ
全速力で走った二人は、魔法陣の前でぜえぜえと息を切らしていた。リリィはぼろぼろと涙をこぼして地べたに座り込んだ。



「じ、ジルが死んじゃった…じ、ジルが。わ、わたしが説得出来てれば…」



泣きじゃくりひどく取り乱しているリリィにアレンは言った。



「悪いが悲しんでいる時間はない。奴が追ってくるかもしれない…今は早くこの魔法陣を使って、ジストに行かなければ」



アレンも内心ぽっかりと穴が空いた感じがしてならなかった。涙は出ない。しかし、今は前に進む他道はないとわかっている。




「ごめんね…ジル。必ず、仇はとって見せる……」




涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭いて、魔法陣へと足を進めた。その先にはどんな困難が待っているのだろうか。
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