君の絵を描かせてくれ。
私たちはとあるビルへやってきた。
「なんか、ボロボロだけど。」
『なんか不安になってきたね…。』
細い階段を上がっていく。
「真莉、うん十万用意したの?」
『さすがに無理だよ。学生という立場を振りかざして頭を下げる。』
「なるほどね。それでこんな胡散臭い小ちゃい探偵事務所ね。」
『失礼しまーす。』
「どうぞー。」
出てきたのは、ドラマかっ!と突っ込みたくなるようなモサっとした男の人。
本当に探偵ってこんな感じなのか。
「そちらへどうぞ。ご依頼をお聞きしましょう、お嬢さん。」
私はすべての事情を説明した。
………………。
『お願いします!』
私は今までお年玉や夏休みの短期アルバイトで貯めておいた、なけなしのお金を差し出して頭を下げた。
「はぁ。正直言って全然足りない。」
『ですよね……。』
「でも、学生ちゃんだし、こっちも最近は浮気調査とかばっかりで退屈してたからね。いいよ。やってあげる。」
『えっ!いいんですか!?ありがとうございますっ!!』
「真莉、よかったじゃん!」
『よろしくお願いします!!』
はぁ〜。よかったー。
見つかりますように!
『あ、もう一つ図々しいお願いしてもいいですか?』
私は探偵さんの人の良さに甘えて、もう一つお願いをした。
そしたら、今回だけだからな!って、渋々OKしてくれた。
私はバカだった。
そんなこと頼まなければよかったんだ。