君の絵を描かせてくれ。
そんな……
『ねぇ、おじさん!いつもそこで何描いてるの?』
あの時の本当の答えはこうだ。
「君を描いてる。」
真幸さんは、いつもあの階段で亡くなったご両親のために、私の絵を描いていたんだ。
きっと遠くから見てるだけのつもりだっただろう。
なのに、私はそんなことも知らずに話しかけてしまった。
手紙の最後のごめんは……
あの夜の過ちに対して。
あの時、真幸さんはどんな気持ちで私に触れていたんだろう。
してはいけない恋だった。
何も知らない私の言動が、行動のすべてが、真幸さんを苦しめていた。
なんてバカなんだろう。
なんてことをしてしまったんだろう。