君の絵を描かせてくれ。
毎日、毎日。
翌日、おじさんのところに行くと、昨日しゃがみ込んでいた位置に椅子が1脚置いてある。
そして、今までスケッチブックだったのが、大きなキャンバスに変わっていた。
「とりあえず、そこに座って。」
『うん。で、私は何したらいい?なんかこうさ…ポーズとか!』
「何もしなくていい。」
『えぇ!じっと座ってるだけ!?そんなのつまんないよ!』
「じゃあ、喋ってたらいい。」
喋ってたらって!
なんか、面白いことして!と同等の無茶振りですけど!
まぁ、いいや。
『じゃあ、君っての嫌だからプロフィールを教えてあげるね!
名前は、桜庭 真莉羽。
そこの美容専門学校に通う1年生。
血液型はー………』
私は一通り自分のことを話した。
『ねぇ!じゃあ、おじさんの名前は?』
「……羽田 真幸」
『まゆきさん?真実の雪?』
「違う。真実の幸せ。」
『真実の幸せ!おじさん、すっごい良い名前だね!素敵!おじさんなんて呼んでたらバチが当たるね。これからはちゃんと真幸さんって呼びます!』
「別に何でもいいけど。」
ふん!勝手に呼ぶもんね!
「よし。今日はもう暗いからここまでにしよう。サンキューな。」
『はぁーい。』
「気ぃつけて帰れよ。」
『はーい!じゃあ、また明日〜!』
私は手を振って、帰った。
真幸さんはこっちを見ながら、煙草をふかしていた。