俺様魔王の甘い口づけ
「魔物に母が捕えられ、献上物として魔王に捧げられ…。母は、血を吸い取られ殺された。そんな母を救うために魔王の城に向かった父も、魔王はためらいもなく殺したんだ」
「……っ!」
「あの非道な悪魔を、俺は許せない。いまだにあいつは悪びれた様子もなく人間の生き血を吸い尽くしている」
恨んでいるんだろう。
深く、傷ついているんだろう。
そうだよね。
家族が、理不尽に殺されてしまったんだから。
「だから、俺は勇者になった。エドワード様の役に立ちたい想いと、魔王への憎しみから…。勇者として、間違ってるだろ」
「そんなこと…」
どれほどの人が傷ついてきたんだろう。
苦しんできたんだろう。
ルイがしてきたことは、間違ってる。
間違ってるんだよ…。
「ごめん、こんな話をして…」
「ううん。私が効きだしたことだから…。話してくれてありがとう」
「…でも、不思議だな」
ふぅ、と息を吐いたレオが大勢を崩しながら言う。
「あまりにも簡単に芽衣子を救い出せたような気がする」