俺様魔王の甘い口づけ



「どういうこと?」

「ん?いや…、今日は魔王の討伐が目的ではなく芽衣子を助けるためにあの城に向かったんだ。俺は、絶対に牢とかそういう所に捕えられてると思ってたから一番に向かったのは地下に続く階段だったんだけど」



あの城に、地下なんてあったんだ。
あまりうろつくなとうるさいから知らなかった。



「あるはずの地下に続く階段がなくて、仕方なく上にあがったんだ。不思議と足があの部屋に近づいてて、芽衣子を見つけられたんだけど…」

「そう」

「不思議なんだよな。一度も魔王に邪魔をされなかった」




首をかしげる。
それが、変なことなんだろうか?
ただ単に気づかなかっただけじゃないの?
静かにやってきたんでしょう?




「例え静かに入ったとしても、あの魔王が気づかないわけがないんだ。でも、簡単に芽衣子を見つけられたし、そこから逃げるのだって容易かった」

「ハンスには見つかったじゃない」

「ああ」

「レオがシャンデリアを壊して追ってこれなかった。ただそれだけでしょう?」



それ以外の理由なんて考えられないけど。




「それだって、俺が狙ったのはあの側近であってシャンデリアじゃない。そもそも、あんな力で投げた剣でシャンデリアが壊れる時点でおかしいんだよ」

「あの城、埃かぶってて古そうだし、劣化してたんじゃないの?」




考えすぎだよ。




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