俺様魔王の甘い口づけ
「もし、仮に何かの理由があってそうなっていたとして、どんな理由があるっていうの?」
「それは……」
「ね、考えられないでしょう?」
私が逃げられない仕掛けをすることはしたとしても、私が逃げられる仕掛けをルイがするはずがない。
仮にそれが、ハンスの仕業ならまだわかる気もするけど、あの時のハンスの様子は本気で私たちを追おうとしていた。
あれが演技とも思えないし。
「…そうだよな。考えすぎか」
「うん。そうだよ」
レオはどうしてそんなことを考えたんだろう。
まさか、ルイがわざとそうしたとか思ったんだろうか。
そんなわけないって、レオだってわかってるはずでしょう?
ルイが、そんなことするはずないのに。
「もう寝ようか」
「うん」
灯りを消し、横になる。
あの城みたいな大きくもなければベッドでもない布団。
ウィンリーちゃんを挟んで眠ると、なんだか家族みたいに思えて少しだけ気恥ずかしかった。
目を閉じると、すぐにうとうとと眠りに落ちていく。