俺様魔王の甘い口づけ
レオが出かけると、私はウィンリーを連れ村を回った。
平屋建ての建物が並び、おしゃれな看板を出したお店もちらほらとある。
村には活気が溢れていて、小さな村なんだろうけど賑わっていた。
「わ、可愛い」
この世界でいうおもちゃ屋さんなんだろうか、人形やボールのようなものがたくさん並べられている。
その中でも柱に沿うように飾られている、風車のような形は少し違うけど風を受けて回る玩具が色とりどりカラフルで綺麗だ。
手作り感溢れる玩具で溢れていた。
ウィンリーも目を輝かせそれを見ている。
「ごめんね、お姉ちゃんお金ないから買ってあげられないの」
「ううん!見てるだけでも楽しいよ!」
なんていい子なんだろう。
もしお金を持っていたら、何でも買ってあげたくなる。
人がお金を払っているのを見ると、やっぱり私が持っているお金とは違った。
「お嬢ちゃん、見ない顔だね」
「あ、はい。昨日からこの村でお世話になってます」
「そうかい。どうだい、一つ」
食べ物屋さんの店主に呼び止められる。
小さな村だから村人の顔は覚えているんだろう。
「いえ、お金を持ち合わせていなくて…」
「いいんだよ。ほら、お嬢ちゃんかわいいから。そのレオんとこのウィンリーも食べな」
「いいんですか?ありがとうございます」
「ありがとー、おばちゃん!」
私は、ありがたくそれを受け取った。
小さな片手で持てるくらいの饅頭。
ホカホカで温かい。