俺様魔王の甘い口づけ
「芽衣子さまッ!!!」
戻ってきてしまった。
私の姿を見て駆け寄るハンス。
とても心配してくれていたんだろうことがわかる。
心配って、ここにいたほうが私は危険のような気がするんだけど…。
というのは、黙っておこう。
「お怪我はありませんか?」
「ないよ…」
「そうですか。よかったです…」
人間界って、そんな危険な場所だと思ってるのかな?
ペタペタと私の身体を触り、本当に大丈夫なのかを確認するハンス。
過保護なお父さんみたい。
「ルイさまが突然城を出て行かれていったい何事かと思いましたら…。芽衣子さまをお迎えに行かれていたのですね…」
「…別に迎えに行ったわけではない」
「芽衣子さまは人間界で生きる方がいいのだと申されておりましたのに…」
「え?」
「ハンス、余計なことを言うな」
ルイはそう言うと私たちを残して城の奥に消えていった。
ちょっと待って、どういうこと?
「ねえ、今のどういうこと?」
「ルイさまに口止めされましたので…」
「もう!いいでしょ!気になって落ち着かないわよ!」
ハンスに詰め寄る。
ハンスは戸惑い視線を泳がせる。
でも、諦めたように一つ息を吐いた。