俺様魔王の甘い口づけ
「片づけておけ」
「はっ、直ちに」
人を、物みたいに…。
嫌悪感が渦巻く。
人の姿をしているけど、あいつこそ化け物じゃないか。
ルイという男の言葉により執事の姿をした男が、誰かに命令を下しその人たちがさっきの女の人を運んでいく。
ピクリとも動かない。
本当に死んでる…?
「魔王さま!!」
私の両側の化け物たちが声を上げる。
それにビクッと体を震わせる。
次は…私の番ってこと?
そんな、勘弁してよ!
血を吸い尽くされるなんて、絶対に嫌!
「ちょっと!」
「…なんだお前たちもか」
「はい!魔王さまに捧げものにございます!」
「ございます!」
―魔王でも住んでいそうな城…。
本当に、住んでいた。
目の前にいるこいつが、魔王だなんて。
「なんだ、そのバカそうな人間は」
本日二回目の、バカそうな、発言にムッとする。
どこを見て言ってるわけ?