俺様魔王の甘い口づけ
ルイがその手を取る。
グイッと引き上げられ、私はルイがいる枝の上に。
不安定なそこは、ルイにしがみ付いていないと落ちそうで。
「…ルイこそ、泣いてるみたい」
「俺様が泣くわけないだろう」
そう言うルイの声は、どうしてか弱々しかった。
間近で見るルイの瞳。
漆黒の色をしたその瞳が、私を捉える。
私は、吸いこまれるようにルイの身体を抱きしめた。
どうしてこんなことをしているんだろう。
怖くて仕方なかった相手。
嫌いだと本気で思った。
でも、知りたいと思って、変えたいと願った。
「お前は、暖かいな…」
「ルイが、冷たいのよ」
「そうか」
ルイの手が、私の背中に回される。
ルイには似合わず、優しく抱きしめられた体。
胸が、ドキドキと高鳴るのは、こんな風に男の人に抱きしめられたのなんて初めてだったから。
きっとそうで。
「お前は…、俺の心を乱す」
「え?」
「こんな気持ち、初めてでどうしたらいいのかわからないのだ」
ルイの吐息が耳にかかる。
それだけで、心がとろけてしまいそうだ。