俺様魔王の甘い口づけ


「お前みたいに、俺に…正面切って向かってくるものはいなかった。だからなのだと…」

「ルイ…?」

「お前になら…名を呼ばれるのも悪くないと…思ったのだ」



まるで、愛の告白のようなその言葉に、戸惑うのは私だ。
こんな風にルイが自分の想いを伝えるなんて、思ってもみなかった。

私に心を開いてくれ始めたってことなのかな。
いつも俺様って自分を呼ぶルイが、俺って言った。
その心境の変化も私は嬉しかったんだ。



「…お前は、俺に人間の血を吸ってほしくないと言ったな」

「うん…」

「それは、本心か?」

「うん…」

「そうか…」



ルイは私を抱き締めたまま黙り込んだ。
そして、そっと私の身体を離す。
交差する視線。


その瞳は、今まで見たルイの瞳で一番優しかった。




私は動揺して、無意識に体をよじっていたらしい。
グラッと体が傾き、地面にまっさかさま。



「きゃあ!」




地面に落ちた私が感じたのは、地面の固さではない柔らかさ。
私の下敷きになっていたのは、ルイだ。




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