俺様魔王の甘い口づけ
「ル、ルイ…」
見下ろすルイの顔。
髪が乱れているのに、整った顔にドキドキする。
「…芽衣子」
初めて、名前を呼ばれた。
私は、心臓が掴まれるように苦しくなる。
「ご、ごめん!」
慌てて身体を起こし、ルイの上からどける。
ルイが身体を起こしたのを確認すると私は慌ててその場から逃げた。
いつもと違うルイに、私の心がどうにかなってしまいそうだ。
冷酷なルイしか知らなかったんだもの。
あんな優しい表情をするルイなんて、初めてだ。
それが自分のせいなのか、わからないけど。
ハンスに言わせれば、私に出会ったからだという。
ルイの気持ちを知るのが、少しだけ怖いと思った。
それ以上に、自分の気持ちを知ることが怖かった。