俺様魔王の甘い口づけ
その日から一週間。
私は、戸惑いからルイと顔を併せないように過ごしてきた。
特別ルイが私を訪ねてくることはもちろんなかったんだけど。
食事も早々に切り上げては部屋に籠っていた。
だって、顔を合わせてどんな顔をすればいいのかわからなかったから。
でもルイは、そのことに対してなにも言わないし。
なんだか前のルイに戻ったようだった。
あの時の優しい表情はすっかり消えてしまった。
「ルイさまが…人間の血を吸うことをやめてしまわれたのです…」
ハンスが、少し気落ちしたようにそう言ったことで、あれは本気だったのだと知った。
私に、確認したんだ。
そして、私がそうしてほしいと頷いた。
ルイは、本気でそれを守ろうとしてくれてるの?
あれだけ拒んだのに…。
「それ、本当?」
「ええ…。魔物がいくら献上物を持ってきても一滴も…」
ハンスの声が小さく消えていく。
それは、とてもいいことじゃないか。
ルイの心が変わったってことなんだから。
でも、ハンスは浮かない表情。
そういえば、ハンスはもともと血を吸うことに肯定的だった。
殺してしまう事はダメだと思っていたけど、吸うこと自体には反対はしていなかったんだ。