俺様魔王の甘い口づけ
「どうしてそんな、複雑な顔してるの?」
「…それは…」
「ハンス?」
「いえ…。私の口からは…」
やっぱり、なにか口止めをされているんだろうか。
どんな理由があるのかわからないけど…。
「ですが、芽衣子さま。どうして最近部屋にずっと籠っておられるのですか?」
「え」
ハンスも気になっていたらしく、そう聞かれ私は戸惑う。
まさか、ルイの変化についていけなくて、なんて言えない。
「ルイさまともどこかよそよそしく感じますし…」
「そんなことないよ!気のせいだよ」
うんうん、と大きく頷きながら言った。
ハンスは半信半疑で首をかしげる。
でも、血を吸わなくなったんだ。
お礼を、言いに行った方がいいよね。
私がわがまま言ったからなんだろうし。
「ねえ、ルイは今どこにいるの?」
「ルイさまなら自室におられるはずですが…」
「そう…。私、会いに行ってくるね」