俺様魔王の甘い口づけ
「この娘は、魔王さまにすべてを捧げたいと自ら、魔界にやってきた勇気ある人間なのです!」
「そうなのです!」
「ちょっと!誰が…っ」
反論しようとしたら、ぎろりと睨みつけられた。
私は、来たくてここに来たわけじゃないのに。
それに、すべて捧げたいなんて一ミリも思ってない。
「そうなのか、人間」
「そ、そんなわけないでしょ!来ないで!」
「ほう、バカそうなのは見た目だけではなく、中身もか」
「はあ?」
なにシレッとした顔で失礼なことを!
ルイの手が顎にかかる。
グイッと顔をあげられ、首筋を露わにさせられる。
「やっ」
このままじゃ、殺される!
なにか、なにか…。
もっていたカバンを手探りで探っているとある物を掴んだ。
身体を後ろに倒し、そいつから距離を取るため倒れこんだ後、胸元に見つけ出した十字のネックレスを突き出した。
血を吸うなら、吸血鬼なのかも。
そんなファンタジーな生き物信じられないけど。
でも、目の当たりにしたなら信じないわけにはいかない。
吸血鬼に効くのは十字架とニンニクだったっけ。
にんにくはないから、せめて…!