俺様魔王の甘い口づけ
「あ、芽衣子さま…。でしたら私もついて…」
「え、いいよ。ただお礼を言うだけだから…」
「いえ、お供させてください」
譲ろうとしないハンスに、私は頷く。
別にいてもただお礼言うだけなんだからね。
私はハンスと共にルイの部屋に向かう。
ノックをしてそっと扉を開く。
出窓のところに座り込み外を眺めるルイの姿。
「ルイ…」
それはとても絵になって、声をかけるのを憚られた。
ルイは私の声に顔をこちらに向ける。
どこか、顔色が悪いように見えるのは気のせいだろうか。
「あのね、ルイ。お礼を言いに来たの」
「…お礼?なんのだ」
「人間の血、吸うのやめたんでしょう?だから…」
近づきながらそう言うと、ハンスに腕を掴まれた。
え?とハンスを見ると首を横に振る。
その意味が分からず私は首をかしげた。
「…言いたいことはそれだけか?」
「え?あ…そうだけど…」
「だったら自分の部屋に戻れ」
冷たくそう言い放つ。