俺様魔王の甘い口づけ
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ」
断末魔を上げ、バサッと音を立てながら倒れる悪魔。
一瞬にして二人ともその場に倒れた。
返り血が飛ぶ。
私の制服や顔にまで…。
血の気が引く。
この人、躊躇いもなく剣を引いた。
この化け物たち、この人の家来とかじゃないの?
それなのに、迷いなんて見えなかった。
「なん…で…」
「この俺様に、ウソを言うなど、気に入らん」
「…そんな、理由で…?」
身体が震える。
心なんて、ないのだと思った。
鼻につく血の匂いが、嗚咽を誘発する。
狂ってる。
帰りたい…。
こんなところ、さっさと帰ってしまいたい。
「…服が汚れたではないか。このバカでは、盾にもなりやしない」
「え…」
返り血を自分が浴びないように、私を挟んで切りつけたということ?
頭が、フラフラする。
狂ってる。
恐怖に、私の意識は、そこでぷっつりと切れた。