俺様魔王の甘い口づけ
「ルイって、なにか用がある時にしか私を呼ばないよね」
「…どういうことだ?用がないのに呼んでどうする」
落ち着いて、隣り合って座ったまま私はルイに尋ねた。
今までルイが血を吸うのは、今みたいに本をくれたりなにか用があって呼び出したついでだ。
そう言えば、とさっき気が付いた。
「血を吸うために呼び出したことないな、と思って」
「嫌なのだ」
「いや?」
「お前をそのためだけに利用しているだけに思えて」
「なに言ってるの?そんなことないでしょう」
「お前の血を吸う俺は、お前を利用していることに違いはないのにな。あからさまに思えて…躊躇われるのだ」
ルイの優しさだったんだね。
ルイは、本当はすごく優しい人なのかもしれない。
優しい人、じゃなくて悪魔だったね。
「そっか、ありがとう。でも、そんな風に思わなくてもいいよ。私、利用されてるなんて思ってないから」
「芽衣子…。お前は、やっぱり変な人間だ」
「もう、変変言わないでよ」
でも、ルイの優しさを知れば誰だってルイの助けになりたいって思うに決まってるよ。
きっと、ここの人間たちだって同じだ。
わかってくれる日は来るはずだよ。