俺様魔王の甘い口づけ
「それより、ルイ…。私暇なの」
「なんだいきなり」
「ルイはさ、この世界でいろいろとやることがあるんだろうけどさ。私にはないんだもん」
本を読むのは好きだけど、いつもいつもそればかりじゃ退屈だ。
引きこもってばかりなのは、性に合わないし。
「…ハンスでも連れて散歩でもしてくればいい」
「散歩?それもいいね。でも、なんでハンス?ルイはついてきてくれないの?」
「散歩など、そんな退屈なもの俺はせん」
そう言う所は、変わってないんだよね。
まあいいけど。
「じゃあ、ハンス誘って行ってこよー!」
「そうしろ。くれぐれも気をつけろよ」
「はーい」
だったらついてきてくれたらいいのに。
そう思うけど、そうはいかないんだろう。
いいんだ。
ハンスとだってなかよしだもんね。
なんだかんだとこの世界に馴染んでいっている気がする。
前ほど、元の世界に帰りたいと思うことはなくなったし。
もちろん、帰りたい気持ちはあるけど。
焦らなくても、この世界をもう少し見てからでもいいかって思えるようになった。