俺様魔王の甘い口づけ



「なにかをお考えですか?」

「…ううん。なんでもない」

「そうですか…」




でも、もうルイは一人じゃないよね。
ハンスの事もリオンの事も認めてる今は。
それに、私だっているんだから。



「キッキー!!!」




突然耳をつんざくような甲高い声。
いったい何事かと辺りを見渡す。
ハンスがとっさに私を庇うようにして立った。





「芽衣子さま、私から離れないでくださいね」

「う、うん」



ハンスが向いている方向を覗き見ると、小さな物体がこちらに向かってきているのが見える。
なんだろう、とても小さくてよくわからない。

でも、その後ろにその何十倍もあろうかという大きな魔物がその小さな物体を追ってやってきていた。





「な、なに?」

「魔物が獲物を見つけ追っているのでしょう。芽衣子さま、見つからないようそっとしておいてくださいね。標的が変ってしまいますから」

「う、うん…」



きっとあれだ、百獣の王に追いかけられているウサギみたいな…。
よくテレビで見ることはあるけど、仕方ないこととはいえ残酷だ。






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