俺様魔王の甘い口づけ
「…あの追いかけられてるのって…」
ドンドン近づくにつれはっきりしてくるその小さな物体。
それは、小さなとても可愛らしい猿のような姿をした動物。
この世界にも魔物以外の動物がいたんだ。
「キッキー!」
怯えた声をあげながら必死で逃げている様が、とても可愛そうで…。
見ていられなくなった私はとっさに飛び出していた。
「芽衣子さま!」
ハンスの声が聞こえるけど、止まっていられない。
仕方ない食物連鎖なのかもしれないけど、目の前でこんなか弱い動物が狙われているのを放っておくなんてできなかった。
私は両手を広げてそのお猿さんを受け止めた。
そのまま体をうずめ縮こまった。
ああ、考えなしすぎる。
逃げる時間なんてなかった。
しかし、いくら待っても魔物に襲われる感覚は襲ってこない。
私は恐る恐る顔をあげると、私の目の前に立つルイの姿が…。
「ル、ルイ…?」