俺様魔王の甘い口づけ
ルイは片手に剣を持っていて、その傍らには横たわる魔物。
助けてくれたんだ…。
「ル、ルイ…どうして…?」
「たまたま、近くにいただけだ」
たまたまって…、ルイが散歩なんてするわけないのに。
素直じゃないんだから。
「怒らんのか」
「え…?」
「俺は、魔物を殺したのだぞ」
「ルイ…」
ルイの視線が横たわる魔物に注がれる。
この小さな命を守るために、この魔物の命は奪われた。
この魔物だって、生きるためにこの子を襲っていたのかもしれない。
私がしようとしたことは間違っていたのかもしれない。
「ルイのせいじゃない。私が、この子を守ろうとしたから…。ルイは、そんな私を守ってくれたんだよね」
「…そんなかっこいいものではない」
私は抱きしめていたお猿さんを覗き込む。
そして気づいた。
「あ、あれ…?は、羽が生えてる!」
そう、その小さな背中にはそれまた小さな黒い羽が生えていたのだ。