俺様魔王の甘い口づけ
魔界とは
目を覚ましたら、そこはベッドの上だった。
あれ?
やっぱり、夢だったのかな…。
そう思って起き上がり、すぐに現実だったと思い知る。
見渡したそこは、まったく見覚えのない部屋。
アンティーク調の家具で揃えられ、薄暗いその部屋。
不気味な雰囲気に、泣きそうになる。
魔王で悪魔だといっていたあのルイという男。
簡単に家来を切り捨て、女の人の血を吸い尽くした。
まるで、それが悪いことだとは微塵と思っていもいない風で。
ただ、気に入らなかった、そんな理由で簡単に人を殺せてしまう冷酷さを持っていた。
起きたのを見計らったように、ノックの音がする。
扉の向こうにいるのが、もしあの悪魔だったら…。
恐怖で声をあげられずにいた。
だからといって、去っていくわけでもなかった扉はゆっくりと開かれた。
顔を出したのは、さっきの執事の格好をした人。
「お目覚めになられましたか?」
「…あなた」
「私は、ルイ様の側近であります、ハンスと申します」
とても、紳士的に挨拶をするその人が、とてもこの場所には不釣り合いに思えた。
なんで、あんな男に仕えているんだろう。
この人も悪魔なのだろうか。