俺様魔王の甘い口づけ



「それって…どういうこと?」

「人間の寿命なんて、俺たちからしたら一瞬ってこと」



悪魔の100歳が私たちでいう20歳。
悪魔が人間でいう20歳になった頃には、同じころに生まれた人間なんてもうこの世にいないだろう。
いたとしても、よぼよぼの老人だ。

悪魔と人間では、流れる時間が違いすぎるんだ。




「だからって…」

「じゃあ好きになって、情を移したとしてもさ、人間は簡単に俺たちを置いていくんだよ。簡単に年老いて、死んでいくんだ。置いていく方はいいよね、でも俺たちは…」

「キイ…」




置いていかれる方の気持ち。
それは、人間にだってきっとわかる。
人間同士でだって、そういうことはあるんだから。

だから、置いて行かれる気持ちがわかるから置いていくほうだって辛いはずだ。



「だからね、無駄なんだよ。だから、めーちゃんも、あまりルイを縛らないでよ」

「キイ…」

「どうせ、めーちゃんはルイを置いて死んじゃうんだから」




その言葉は、とても重くのしかかる。
そうでなくても、私は元の世界に戻りたいと思ってるんだ。
その時、ルイはどう思う?

ルイも、キイみたいに無駄だったんだと、情なんて移すべきじゃなかったと思うんだろうか。





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