俺様魔王の甘い口づけ


例えば仮に、このままこの世界で生きていったとしても、結局私はルイを置いて死ぬことになるんだろう。
私はよぼよぼのおばあちゃんになって、でも、ルイはまだ見た目も寿命もまだまだ残っていて。



私はルイを置いていくことを、どう思うんだろう。
ルイは、私が死んでいくことをどう思うんだろう。



そんなこと、考えもしなかった。




「ね、責任なんて取れないでしょ?」

「…」

「だから、あまり首を突っ込むのはやめた方がいい」



悪いことは言わないからさ、そう付け足すと立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
残された私は、心の中をかき乱された気持ち。





考えてなかった。
この先の未来の事。






私の血をあげるなんて、軽々しいことを口にしていたってこと。





それだって、いつまでも続けられないんだ。
私が元の世界に戻ったら、その先ルイはどうやって生きていく?
結局は、前と同じように人間の血を求めることになるんだろう。


だったら、今私がしていることっていったいなんなんだろう。



この先ずっとルイに人間の血を吸うななんて、そんな事私が言えるはずなかったんだ。





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