俺様魔王の甘い口づけ



「キイが余計なことを言ったらしいな」



悶々としている私のもとにやってきたルイがそう言った。
私はあいまいに笑って返した。




「あいつは口から先に生まれたような奴だからな。思ったことを何でも考えなしに口にする。正直者ではあるが、無神経な所があるのだ」

「…でも、本心なんだよね」

「まあ、そうだな」





人間が嫌いっていうのも。
その理由も、ウソはないんだ。




「ルイも、人間が嫌い?」

「…好きとか嫌いとか、考えたこともない」

「でも…」

「人間は、弱い…とは思う」




弱い。
悪魔に比べたら、確かにそうなのかもしれない。




「簡単に死んでいく。それは、確かにそうだ」

「だから、あまり関わりたくないの?」

「どうしたのだ。何をそんなに取り乱すことがある」




取り乱してなんか…。
でも、不安なんだ。





< 172 / 425 >

この作品をシェア

pagetop