俺様魔王の甘い口づけ



「いずれは、芽衣子だって自分の世界に戻るのだろう」

「……ルイ」

「なにも、思い残すものがない方が良い」





思い残すもの。
そのために、私は何も見ないふりをして、気づかないふりをして何も感じないように生きていけばいいの?
いつ元の世界に戻っても寂しくならないように?
心残りがないように?



「やだ!そんなの!戻るために、なにも見ないようにするなんて!私、今生きてる!ここで生きてるんだよ!」

「芽衣子」

「悩んだり、感動したり、笑ったり泣いたり、したいよ。ルイと一緒にしたいの!」





それで、寂しい思いをすることになったとしても。
それでも今は、そうしていたいの。




その時、どんな決断をするかなんて、その時の私が決めればいいんだ。





「困るな」

「え?」

「俺が、放したくなくなるだろう」





サラリと言われたその言葉に、私の顔は真っ赤に染めあがる。
な、なにをサラッといったのこの魔王さまは。



「ん、どうした芽衣子」



そしてこの無自覚!?




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