俺様魔王の甘い口づけ
「わかってる。でも、・・・どうしてもヘンリー様に王位を譲るわけにはいかないんだ」
「だからって、なんで私なの?私は、ただの一般人なのよ?もっと、王子さまにお似合いの相手がいるはずだわ」
「リュークさまは、芽衣子がいいとおっしゃっている」
どうしてそんなに気に入られてしまったのか。
困るよ。
こんな異世界でいきなり結婚だなんて。
「悪いけど、それはできないよ」
「・・・じゃあ、魔王の血を持ってきてくれないか」
レオが、真剣な顔でそう言った。
ルイの血・・・?
「魔王の血なら、王様の病気も治すことができる。そうすれば、王位を譲る心配はなくなる」
「・・・そんな」
「なにも殺せって言ってるわけじゃない。ほんの少しだけでいいんだ。少しだけでも、病気を治すくらいの力にはなるはずだから」
私は黙り込む。
ルイが、そんな事許すだろうか。
人間の王様をあまりよくは思っていないようだった。
そんな王様を助けるために自分の血を少しでも分けようなんて思うだろうか。
「む、無理だよ・・・」
「芽衣子にしかできないんだ」
「私にだって、できないよ」