俺様魔王の甘い口づけ
ルイが私の頼みを聞いてくれる保証なんてどこにもない。
そもそも、断られたらその計画だって無駄になるんだ。
「わかってる。それでも、頼んでくれるだけでも感謝する」
「うん・・・」
「疑うわけじゃないけど、俺たちも必死なんだ」
「え?」
顔をあげると、「キッキー!」と鳴き声がし、私の肩からキイが捕まえられた。
レオの手の中で暴れるキイ。
「レオ!?」
「・・・芽衣子が戻ってきたら必ず返すから。傷つけたりはしない」
「でも!」
「ごめん。こうするしか、ないんだ」
切羽詰まったレオが、懇願するようにそう言った。
私は、戸惑いながらも立ち上がる。
「キイ、ごめんね」
私はその場を飛び出した。
森の方へ向かい、ただひたすらに走る。
人質のようにキイを奪ったレオの事、許せないけど。
でも、そこまでしないといけなかった気持ちもわからなくもない。
レオは、あの王様を慕っていたから。
私には、わからないけど。
あまりいい印象を受けなかった。
でも、人が苦しんでいるのを放っておくのは嫌だ。
私が助けられるなら、できるだけの事はしたいとは思う。