俺様魔王の甘い口づけ
「さあ、持ってきた魔王の血を渡すのだ」
王様がそう言って手を伸ばす。
私は、ギュッと小瓶を握った。
「渡せません」
「なに?」
「私は、王様が病気で危険な状態だからとレオが必死に頼むから、ルイに頼んだんです。でも、騙されたってわかったなら、渡す理由がありません」
ルイの優しさを踏みにじるような。
自分の欲望のためなら、誰でも利用するのね。
「ならば、それをどうするのだ。せっかくそこにあるのだ。捨てるのはもったいないであろう?ならば有効利用するべきではないか」
「そうだとしても、絶対にあなたには渡しません!」
卑怯な手を使ってルイの血を手にしようとするなんて!
「キイ、お願い・・・。これをルイに返して」
私は、肩に乗っていたキイに小瓶を持たせる。
キイは私の顔をじっと見上げ、その小瓶を掴んだ。
「ルイに、ごめんねって・・・伝えて」
もう、戻れない。
ルイの優しさを私は結局利用してしまったんだから。