俺様魔王の甘い口づけ
「来たか、魔王」
「・・・ふん、姑息な真似を」
「なにも、本気で殺そうとしているわけではない。我が望みを聞いてもらえれば、すぐに手当てでもなんでもしよう」
王は折れた剣を捨てると、新しい剣を手にする。
その剣を私に再び向けた。
「もし、聞き入れてもらえぬ場合は・・・」
「ルイ!・・・ダメだからね!・・・絶対・・・」
こんな奴の言いなりにならないで。
こんな奴に、少しでもルイの血を渡そうとした自分が憎らしい。
「俺様に、そんな脅しが通用するとでも?」
「この娘を見殺しにすると?ならばなぜここに来たのだ」
「芽衣子も助ける。しかし、貴様の言うことを聞く義理はない」
どうして・・・。
私は、ルイを利用したのよ。
まんまと騙されて、ルイの血を・・・。
それなのに。
「そんなことを許すとでも?」
王様の冷たく低い声が響く。
その瞬間、四方に並んでいた家来たちが銃や、剣をルイに一斉に向ける。