俺様魔王の甘い口づけ
「それに、夜の森は危険です。血は吸わないと申しましたが、魔物の中には気性の荒い者もたくさんおりますので。命の保証はできかねますよ」
「…っ!」
「それでもよろしければ、どうぞ」
身の毛もよだつとは、こういうことだろうか。
私は、恐怖に怯え身動きが取れない。
どうしてこんなことになったんだろう。
ただ、近道を探したかっただけ。
通学路を探していただけなのに。
「ご理解いただけましたか?」
そう言われ、私は言葉なく頷いた。
いうことを聞くしかないと本能が言っている。
逆らうことは、許されない。
「あまり、この城の中を勝手にうろつかないように。魔王さまに見つかれば、次は本当にどうなるかわかりませんよ」
「…わかりました!」
そんな恐ろしいこと、絶対にしないわよ。
あんな恐ろしい人になんか、会いたくもないし。
冷たい目をしていた、あの魔王。
見つめられれば、心まで凍ってしまいそうだった。