俺様魔王の甘い口づけ
「あの、私、魔王の吸血衝動を治したくて来たんです。あなたなら物知りで、なにか知ってるかもって聞いて・・・」
「さあ、私にはわからないことだね」
わからない・・・。
知らないの?
やっぱり、そんな方法ないんだろうか。
でも、諦めたくない。
「なにか、小さなことでもいいんです。何か、知りませんか?」
「私は知らないが、あの者なら知っているかもしれんな」
「え?誰か、心当たりがあるんですか?」
私は、悪魔に詰め寄る。
この悪魔に対しての恐怖は少し和らいでいた。
今は、知りたい気持ちで突き動かされていたから。
「この奥の森の中。そこに洞窟があってな」
「洞窟・・・?」
「そこに、魔術師が住んでおる」
「魔術師・・・」
ゲームの中でよく出てくる名称だ。
この世界にはそんな人がいるんだ。
勇者といい魔術師といい、魔王といい。
まるでファンタジーだ。