俺様魔王の甘い口づけ
だったら、私だって命をかけるくらいの事をしなきゃ。
ルイがしてくれたことを、返せない。
どうしてだろう。
こんな風に思うのは。
こんな世界。
私の世界ではないのに。
戻りたいと思うのに。
どうしてこんなにも、関わってしまうんだろう。
「いってきます。教えてくれてありがとうございます」
「いや。気を付けて」
「はい。あの、あなたの名前を聞いてなかったんですけど・・・。私は、芽衣子です」
「芽衣子か。よい名だ。・・・私はジインだ」
「ジインさん。ありがとう。また、会えた時にはお話しましょう」
見ず知らずの私に親切にしてくれた。
そのことには、感謝だ。
ジインさんのところを後にして、教えてもらった場所に向かう。
森の中へは馬車はいけない。
連れてきてくれた悪魔に待っていてもらって、私は一人歩いて森の中に進む。
ただでさえ薄暗い世界。
森の中にはいるにつれ、その薄暗さは増していく。
不気味な鳥の声が響く。