俺様魔王の甘い口づけ
交渉
洞窟の奥。
そこにいたのは、真っ黒なフードつきのマントをまとった不気味な人物。
「あ、あの・・・」
相手がどんな表情をしているかも、男か女かも、人間かそうじゃないかもわからない。
それは、想像以上に怖いものだった。
「魔王の呪いを解きに来たのだろう?」
「呪い・・・」
ハンスも確か、同じようなことを言っていた。
呪いのようなものだって。
「その、呪いを解く方法を探しているんです」
「方法を知りたいのかい?」
魔術師と思われるその人は、ゆっくりとしたトーンで話す。
私は、生唾を飲み込み頷いた。
「教えて、くれますか?」
真っ直ぐ、魔術師を見据えてそう言った。