俺様魔王の甘い口づけ



「ったぁ!なに!?」



尻餅をついて倒れ、うち付けたお尻をさすりながら身体を起こそうとする。
しかし、それは誰かの身体によって憚られた。

私の上にのしかかるようにして、私を押さえつける人。
な、なに?



「ちょ、なに…」



暗くてよく見えないその人が私の後頭部を抱え込む。
グイッと引き寄せられるとガリッと首筋に鋭い痛みが走る。




「―――――ッ!!」




血が、吸い上げられる感覚。
疼くような感覚に、眩暈がしそうになる。

これは…ルイ?




「やめてっ!!」




私は渾身の力で体を引き離す。
何かが、首筋から引き抜かれる瞬間、鈍い痛みが走り顔をしかめた。
そして、暗闇に慣れてきてぼんやりと見えた顔に思いっきり平手をくらわせた。

バシン、といい音がして綺麗に決まったのがわかった。





瞬間、どういう原理なのかパッとその部屋の明かりがついた。
目の前には、想像通り冷酷魔王の姿。
口元には、血…。




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