俺様魔王の甘い口づけ
「ハンス!」
城に戻って一目散にハンスの元へ。
ハンスの唇は切れ、頬は腫れていた。
ひどい仕打ちを受けたのが一目でわかる。
「ごめんね、ごめんね!私のせいで・・・」
「芽衣子さま・・・。いえ、芽衣子さまのせいでは・・・」
「でも、私のわがままをきいてもらっただけなのに。誤解されてこんな」
何と言ったらいいかわからない。
謝ることしかできない。
「誤解ではないのですよ・・・」
「え?」
「私は、芽衣子さまに押し付けたのです」
ハンスは目を伏せる。
私は、眉を顰め、ハンスを見た。
「この城から出てはいけないという契約ですが。破ろうと思えば、破れるのに・・・。私にその気があれば、自分でそこへ向かうことができたのに・・・」
「ハンス」
「ですが、私はそれを今までしてこなかったのです。どこか、仕方ないと諦めていたのです・・・」