俺様魔王の甘い口づけ



魔王の定めなのだから。
魔王の呪いなのだから。



吸血衝動があるのも。
人間の血を吸うのも。
それで人間の命が奪われることも。



仕方がない。





そう、諦めざるを得なかった。





人間の命までを奪わなくなった時、ハンスはとてもうれしそうだった。
仕方がないと諦めていたことが、叶ったんだ。


きっと。



でも、仕方がないと諦めてきた癖は簡単には取れない。





魔王の呪いを解こうなんて気持ちにまでむかなかったんだ。





「ですが、芽衣子さまは、仕方ないことだと諦める私とは違い、ルイさまのために・・・。私は、その芽衣子さまの気持ちを利用したのです」

「・・・違うよ」

「いいえ。そうなのです。私は・・・。例え、その結果芽衣子さまが命を落とされたとしても・・・仕方ないと・・・ッ」




最後には、涙声になるハンス。
苦しんでいたんだろう。



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