俺様魔王の甘い口づけ
「それは、なんだ」
ルイがようやく声を発する。
その声に、私は視線を自分の胸元に落とした。
「あっ・・・」
そこには、魔術師との契約のしるしが。
すっかりこの存在を忘れていた。
「こ、これは・・・」
私は慌てて手でそれを隠すがもう遅い。
ルイは私に体を寄せると、隠していた手を掴み引きはがす。
鋭いルイの視線が、射るように注がれる。
「これは、なんだと聞いているんだ」
「これは・・・、た、タトゥーって知ってる?・・・私の世界で流行ってるの」
自分でも、無理やりすぎるいいわけだと思った。
でも、私の世界の流行りものとでも言えば、ごまかせるんじゃないかって思った。
だって、ばれたくなんてなかった。
これが魔術師と命の取引をしたしるしってこと。
そんなことばれたら、勝手なことをするなと怒られるに決まっている。
そんなこと望んでなどいないと、突き放されたら私・・・。