俺様魔王の甘い口づけ



にしても、身体に力が入らない。
入らないだけじゃなく、なんだかフラフラするんだ。


「気持ち悪い…」

「血を大分吸ってやったからな。血が足らんのだろう」

「あんたね…」



なにを冷静に分析してるのよ。
それって、全部あんたのせいじゃない。

やっぱり、私あと少しで殺されるところだったんだ…。



怖い。
普通に言い返してしまっているけど。
やっぱり、こいつは簡単に人を殺せる冷酷な悪魔なんだ。



「…なるほど、地面に這いつくばる姿、貴様によく似合っておるぞ」

「…るさい」

「なんだ、さっきまでの威勢はどこに消えた」





私を見下ろしながら、あざ笑う声が聞こえる。
悔しい。
言い返したいけど、身体に力が入らない。

そして、どんどん視界もぼやけて……。





私、死んじゃうのかな?






こんなところで、誰もいないところでなんて…。







死にたくない。








私の意識は、プツッと途切れた。




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