俺様魔王の甘い口づけ
現実味がないそのことだって。
でも、それが嘘じゃないことくらいわかる。
この世界に来てずいぶん経った。
残酷さも、非道さも、目にしてきたんだもん。
この契約が、嘘でした。
なんてそんなことがないことくらいわかる。
だからこそ。
ルイに知られたくなかった。
魔術師の手に落ちた。
そんな風に思われたくなかった。
私の命は、魔術師の思うまま。
そんな事実、知られたくなかった。
ああ、私。
ルイの事好きになってた。
命を差し出してもいいと思えるくらいに。
だから、迷わず契約を交わせたんだね。
今頃になって気づく。
バカだよ、私。