俺様魔王の甘い口づけ
「あれ?誰、あの子」
「芽衣子さまです」
「芽衣子?なに、人間じゃない」
「はい。今、この城で生活を共にしております」
ハンスが私を紹介する。
アンリの視線が私に刺さる。
ルイに向けられる甘い視線じゃない。
痛く突き刺さる視線だ。
敵意をむき出しにしたその視線。
怖い。
「なんでこんな人間なんて側に置いてるの?」
「・・・アンリには、関係ないだろう」
非常食だから。
そんな風に言われなくてよかった。
なに、そんなことでホッとしてるんだろう。
「ま、別にいいけどね!どっちにしても、ルイはアンリの物だから」
真っ直ぐ私を見据え、笑ったアンリの瞳は全く笑っていなかった。