俺様魔王の甘い口づけ



目を覚ます。
あれ…?
私、今度こそ死んでしまったと思ったのに。

いつの間にかベッドに寝ていた。
しかも、それは最初に私が寝ていたベッドではない。

最初に私が寝ていたのは柄物だったけど、これはもっとシックな黒のシーツがかけられているベッド。




「…ここは、どこだ」




辺りを見渡すけど、誰の姿も見えない。
ゆっくりと体を起こしてみるけど、起き上れる。
貧血もすっかり治まっていた。


ベッドから起き上がり、そっと部屋を出る。
左を見ると行き止まり。
右には長い廊下。



ここって、もしかして…冷酷魔王の部屋?
ウソ、なんで私あいつのベッドで寝てたの?


そもそも私が生きていることが信じられない。
私は足元を確認する。


よかった…ちゃんと足ある。
もし幽霊にでもなっていたらと少し怖かった。




私が目の前で倒れたら、あいつの事だチャンスだと私の血を根こそぎ吸いかねないと思ったのに、そうしなかったの?



「そう言えば、非常食だった…私…」




そんなことを言われたことを思いだし、納得した。
今殺してしまうのは惜しいとでも思ったのか。





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