俺様魔王の甘い口づけ
「芽衣子さま・・・?」
「・・・え?」
「大丈夫でございますか?」
ハンスが心配そうに顔を覗かせる。
私は、瞳を揺らしながら虚ろな目でハンスを見た。
「うん、大丈夫だよ。別に、なんとも思ってないから」
「芽衣子さま」
それは、なんて強がりなんだろう。
こんなにも胸は痛いのに。
心の中に浮かぶ。
―私はルイのためにここまでしたのに!
ああ、なんて醜いんだろう。
ルイはそんなこと頼んでなんかいなかったのに。
私が勝手にしたことなのに。
私って、こんなにも醜い人間だったの?
「私、部屋に戻る」
「・・・はい。何か用があればお呼びください」