俺様魔王の甘い口づけ



「芽衣子さま・・・?」

「・・・え?」

「大丈夫でございますか?」





ハンスが心配そうに顔を覗かせる。
私は、瞳を揺らしながら虚ろな目でハンスを見た。




「うん、大丈夫だよ。別に、なんとも思ってないから」

「芽衣子さま」




それは、なんて強がりなんだろう。
こんなにも胸は痛いのに。



心の中に浮かぶ。


―私はルイのためにここまでしたのに!





ああ、なんて醜いんだろう。





ルイはそんなこと頼んでなんかいなかったのに。
私が勝手にしたことなのに。





私って、こんなにも醜い人間だったの?





「私、部屋に戻る」

「・・・はい。何か用があればお呼びください」




< 290 / 425 >

この作品をシェア

pagetop