俺様魔王の甘い口づけ
「ルイ!ねぇ、いつ正式に迎えてくれるの?」
あれから、アンリはこの城に棲みつきいつもルイの側にいる。
それは、婚約者として当然の事なのかもしれない。
でも、その姿を見るのはすごく辛くて。
目をそらしたくなる。
きっと、アンリは私に見せつけてるんだ。
「早くルイのお嫁さんになりたいなぁ」
ルイの腕に絡みつかせた腕。
甘えるように頭を寄せる。
ズキン。
胸が痛い。
この胸の痛みは、日に日に増しているような気がする。
胸が痛い。
心の中に靄がかかる。
「いい加減、離れろ」
「ええー。やだぁ」
アンリの声が、ルイの声が、聞こえるたびに。
心の中に蓄積されていく私の醜い心。