俺様魔王の甘い口づけ



そんな思いも、熱から覚めれば気恥ずかしく切り出すこともできなかった。
情けないものだ。




「ぁあっ・・・はっ・・・ル・・・イ・・・」





苦しそうにうなされながら、自分の名前を呼ぶ芽衣子。
もどかしい思いが、苛立ちを高める。


何もしてやることができないのか。



こんなにも、芽衣子が苦しんでいるのに。






「俺は・・・、人間一人、満足に救えんのか!」





殺すことは、あんなにも容易いというのに。
握りしめた拳。



悔しい。




こんな思いだって、知らなかった。






「ルイさま!医師を連れてきました!」



ハンスが慌てた様子で戻ってきた。
連れてきたのは、魔界の医師。



< 296 / 425 >

この作品をシェア

pagetop