俺様魔王の甘い口づけ
胸元のしるし。
風呂場でルイが見た時には、黒く小さなものだったはずのそのしるし。
それが、赤いしるしへと変わり、そのしるしから四方八方へと伸びている触手のような線。
不気味だった。
「契約が、執行されようとしているのだよ」
「執行・・・?どういうことだ!」
「これは、魔術師との契約のしるしだ。魔術師は、その者が欲しがるものの代わりにあるものを要求する。その契約の証としてその者の身体に刻まれるのがこのしるしだ」
ルイの不安は的中していた。
見たことあると思っていたしるし。
芽衣子が言うように、タトゥーだとかいう異世界の流行ものならいいと。
芽衣子の言葉を信じたいと思う気持ちもあった。
しかし、今すべてが消え去った。
「このしるしは、魔術師に求められたモノの側に浮かぶといわれている・・・。きっと、彼女は心臓を要求されたんだろう」
「なぜ・・・」
自分の心臓と代えるほど欲しかったものとはなんだ?
わからない。